- Index:
- 人間万事塞翁が馬
- 日本以外の国はどうなってるの? ~交際費~
- 地方公共団体における資産更新問題
- 「扶養義務者から受けた生活費等に係る贈与税のQ&A」
- 非嫡出子の相続格差は「違憲」 最高裁決定、民法改正へ!
人間万事塞翁が馬
今年の干支は「午」です。「午(馬)」にちなんだ故事、諺(ことわざ)はたくさんありますが、私が自分の「座右の銘」とも思っているものが「人間万事塞翁が馬」という故事です。
人生における幸不幸は予測しがたいことというたとえで、だから目の前のことに一喜一憂しても仕方ないということです。
ありがちかもしれませんが、私は大学を浪人した時に予備校の入学式でこの言葉を聞いて以来好きになりました。
(詳しい内容を知りたい方は是非調べてみてください。)
この故事を「座右の銘」にされている人は多いそうですが、大事なポイントは何事も考え方をプラス発想に切替えるということです。
ピンチとチャンスは表裏一体です。どんな失敗をしてもそれは通らなければならなかった成功へのプロセスだと置き換えればもう怖いものはありません。
ピンチはチャンスと捉えて、チャンスは逃さずしっかりつかみ、飛躍の年にしていきましょう。
(代表 山田義之)
日本以外の国はどうなってるの? ~交際費~
お歳暮や忘年会・新年会と、そろそろ交際費の出費が落ち着いてきたのではないでしょうか。
法人税において交際費は原則、損金不算入となります。ただし特例により資本金1億円以下の中小法人については、一定額まで損金に算入することができます。
平成25年度の税制改正では、その中小法人に関する損金算入の定額控除限度額が600万円から800万円に引き上げられ、定額控除限度額までの金額の損金不算入措置が廃止されました。
(平成25年4月1日以降に開始する事業年度から既に適用されています。)
※財務省作成「平成25年度税制改正」パンフレットより
さて、この交際費の取扱いですが、他の国ではどのようになっているのでしょうか?
まずイギリスでは全額損金不算入となっています。
アメリカとドイツは、もともとは全額損金算入することができたようですが、現在は取扱いが厳しくなりアメリカは50%、ドイツは30%が損金不算入となっています。
一方フランスでは全額損金算入できますが、一定の金額を超えると申告時に明細書の提出が義務付けられているようです。
なお、これらの取扱いはいずれの国も原則としてで、その他にいくつかの要件がありますし、日本での交際費支出についてもルールはあります。交際費を上手く使って増収増益につなげましょう。
(鈴木亜希子)
< 参 考 >
平成26年度の税制改正大綱が原案通り可決されれば、この定額控除限度額 800万円が2年間延長され、「支出した飲食費の50%を損金算入」との選択適用が可能となる予定です。
(「支出した飲食費の50%を損金算入」という新しい基準は中小法人以外の大法人も利用可能とされています。)
税制改正案が可決されましたら、例年通りヤマダ会計NEWSでも特集しご案内いたしますので、今しばらくお待ちください。
地方公共団体における資産更新問題
地方公共団体の会計はどのように行われているかご存知ですか?
日本における行政の会計制度である官庁会計は、「単式簿記・現金主義会計」で行われています。
この手法では、現金収支を厳密に管理できる反面、ストック情報、コスト情報の欠如といったデメリットがあった為、近年、企業会計で用いられている「複式簿記・発生主義会計」も導入されました。
その結果、ストック情報などが反映された財務書類が作成され、その財務書類を分析したことにより、ある問題が顕在化してきました。
それは、資産更新問題です。
地方公共団体が抱える固定資産の多くが、高度経済成長により、急激に整備された道路や公共施設等のインフラ資産で構成されております。そのインフラ資産が長年の使用により老朽化が進んできている為、大規模修繕や改築等を必要とする時期が、必ず訪れます。その際に莫大な支出に対応できるかどうかが資産更新問題となります。
平成24年に公表された総務省の調査では、「人口1人当たりの将来の1年当たりの更新費の見込み額」が、全国平均で63,950円という数値がでてきました。
浜松市の人口約81万人で、上記平均額を乗じると年間518億円もの資産更新額の調達が必要となってきます。
これは平成24年度の一般会計の歳入(収入)の額2,533億円のうち、約25%相当となります。
ちなみに、上記更新額を人口別に見ると、25万人以上で40,440円、1万人未満で238,110円と、地方公共団体の規模により大きな開きがあり、小規模な団体の方が1人当たりの更新費用がより重い負担となっています。
結果、なんとか資産更新額の捻出が可能な団体もありますが、そうでない団体もでてくるかと思われます。地方公共団体では、自身の置かれている現状認識を早期に行い、それに対する対策を検討する必要があると言えます。
さて、皆様のお住まいの地域はどうでしょうか?
地方公共団体のホームページには企業会計に近い形で作成された財務書類等や現状の取り組み等が掲載されております。
「わが街は大丈夫だろうか?」と思われた方、是非ご覧になってみてください。
(リーダー 刑部圭祐)
⇒ 公会計制度の動き
「扶養義務者から受けた生活費等に係る贈与税のQ&A」
国税庁はこのほど、扶養義務者(父母や祖父母等)から「生活費」または「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&Aを作成・公表しました。
このQ&Aでは、扶養義務者から贈与された出産や結婚における費用などの贈与税の取扱いが示されています。我々にとっても身近な税に関する情報ですので、今回ご紹介したいと思います。
そもそも今回Q&Aが作成された背景には、平成25年度税制改正による「教育資金の一括贈与の非課税特例」の創設が挙げられます。
この制度、簡単に言うと、子や孫の教育資金を1,500万円まで非課税で贈与できる制度であり昨年の4月にスタートしました。
一方、扶養義務者から必要な都度・必要な金額として贈与される「生活費」・「教育費」はそもそも非課税とされてきたところです。
今回は、この贈与税が非課税となる「生活費」・「教育費」の範囲を明らかにし、取扱いの明確化を図ったものです。
国税庁公表のQ&Aを抜粋し、私なりにまとめてみました。
Q1:贈与税のかからない、「教育費」とは?
A1:被扶養者の教育上必要と認められる学資・教材費・文具費等をいい、義務教育費に限らない。 通学の為の交通費、学級費、修学旅行参加費も「教育費」に該当。
Q2:贈与税のかからない、「生活費」とは?
A2:通常日常生活を営むのに必要な費用をいい、治療費・養育費その他これに準ずるものも含まれる。 治療費に準ずるものとして、出産に要する検査等・分娩等に係る費用もOK。
Q3:子が結婚するにあたり、親が費用を負担した場合は?
A3-1: 子が婚姻後に生活を営むための家具・寝具・家電製品等の購入費用 → 贈与税はかからない。
(但し、使わずに預貯金とした、家の購入費用にした、という場合はダメ。)
A3-2: 子の結婚式や披露宴の費用→贈与税はかからない。
(本来負担するべき人が誰かにもよるが、地域の慣習や招待客との関係等も踏まえたものであれば、そもそも贈与に当たらない。)
【例】親の知人を多く呼んだので、その分を親が負担した。
Q4:子が住むアパートの家賃、親が負担した場合は?
A4:子が自らの資力で家賃を負担できない状態であれば 贈与税はかからない。
【例】子が学生で一人暮らし中。その家賃を親が負担した。
親子間等における贈与は思わぬ贈与税の負担を招くことがありますが、上記のように贈与税がかからないケースも多くあります。有効に活用されてみてはいかがでしょうか?!
(税理士 大石和寿)
⇒ 贈与税とは
⇒ 贈与税の申告が必要な方
非嫡出子の相続格差は「違憲」 最高裁決定、民法改正へ!
結婚していない男女の間に生まれた子(非嫡出子)の相続分は、法律上の夫婦の子(嫡出子)の半分とする民法の規定を巡る裁判で、最高裁は昨年9月4日、法の下の平等を定めた憲法に違反し無効だとする決定を下しました。
「非嫡出子の相続分を制限するのは不当な差別だ!」という声は、確かに以前から上がっていました。
加えて、厚生労働省の人口動態統計によると、非嫡出子の割合が平成7年の時点では全体の1.2%であったものが平成23年には2.2%と増加傾向にあること。また国際的に見ても、非嫡出子の出生率が高い欧米などでは、相続などに関する格差を撤廃する流れにあることも、判決に影響を与えたようです。
今回争われたのは、平成13年7月に死亡した東京都の男性の遺産分割を巡る裁判と、同年11月に死亡した和歌山県の男性の遺産分割を巡る裁判です。いずれも法律婚の妻と内縁関係の女性との間にそれぞれ子供をもうけていたケースです。
裁判所は判決理由として、日本社会に法律婚制度が定着していることを認めながらも、家族の形態は多様化していると指摘。「父母が婚姻関係になかったという、子にとって選択の余地がない理由で不利益を及ぼすことは許されないという考えが確立されている」と整理しました。
ただし、変更に伴う混乱を防ぐため、違憲判断は決着済みの遺産分割には影響しないものとされました。すなわち、平成25年9月4日までに既に遺産分割の協議や裁判が終了している場合などは、その効力は覆りません。
これにより平成25年12月5日、民法が改正され、非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分と同等となりました。この改正後の民法は、最高裁判決のあった日の翌日にあたる平成25年9月5日以後に開始された相続について適用することとされています。
(税理士 大石和寿)