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大増税時代到来!もう相続税は他人事ではありません!
平成25年度税制改正法案が3月29日に開かれた参院本会議で原案どおり可決・成立しました。景気浮揚のために幅広い見直しを盛り込んだ今年度の税制改正ですが、何と言っても目玉は、民主党時代からの積み残しとなっていた相続税の増税ではないでしょうか。
今まで相続税は100人に4人しか課税されておらず、心配していたのは一部の資産家だけのことでしたが、基礎控除の引下げにより8人から10人が課税されると言われています。そうなると相続税は他人事ではありません。
「相続税」も「争続問題」も、未だご家族が元気なうちに早めの対策を打っておくことが重要です。まずは私たち専門家にご相談ください。そして、将来必ず起きる相続に対してご家族と前向きに話し合ってみることです。
(代表 山田義之)
いつから8%になるの?~消費税率の引上げと経過措置~
今回は、昨年11月号で取り上げました「契約日に注意!~改正消費税法~」の続報をお届けします。
消費税率は、
平成26年4月1日から、8%(消費税率6.3%、地方消費税率1.7%)
平成27年10月1日から、10%(消費税率7.8%、地方消費税率2.2%)
に引き上げられることになっています。
平成9年4月に3%から5%に上がった時には、例えば、コンビニでカップヌードル150円を買うと、3月31日23時59分には154円で、5分後の4月1日0時4分には157円、ということが起こりました。レシートを見て消費税が上がったことを実感したものです。
当時は、「レジに登録された税率を3%から5%に変更」するだけでしたが、現在は値札が消費税込(総額表示)ですから、「陳列棚の値札を4月1日付で全て変更」となれば前回以上に店側は大変でしょう。
(※負担軽減のため、「総額表示義務」を緩和させる特別措置法案が提出されています。)
法人・個人事業主のみなさんにとっては、売り手側として「売上請求書の消費税は全部、4月1日から8%で出すの?」「定食のメニューは税込だから、値上げするしかないなぁ」等、また買い手側として「5%のうちに買っておくか?」「8%になって消費税納税できるだろうか・・・」等、実施を1年後に控えてどうしていいか、対応にお悩みだと思います。
そこで国税庁から、5%から8%への税率引上げ時における経過措置の概要が明らかにされましたので、お伝えしていきます。
平成26年4月1日以後であっても、8%ではなく、旧税率(5%)が適用される場合の主なものを例示します。
消費税を少しでも節税するためのポイントも、簡単に紹介します。
1.旅客運賃等
例:電車・バスの定期券、映画・遊園地の前売券
平成26年3月31日までに販売・領収されたもの★ → 平成26年4月1日以後に使用■
<ポイント>
売り手側:該当するものは、5%のうちに売り渡し、領収する。
買い手側:通勤手当の定期券などは、5%のうちに購入、支払する。
2.請負工事等
例:建物の建築、外構工事、設計、ソフトウエア開発
指定日の前日(平成25年9月30日)までに契約●
→ 平成26年4月1日以後に完了、譲渡■
<ポイント>
売り手側:可能な受注契約は、指定日前日までに締結する。(原材料の仕入等は前倒しで5%のうちに)
買い手側:大がかりな修繕予定、建築工事があるなら、指定日前日までに契約を締結する。
※但し、追加工事や金額の増額変更があると5%とはなりません。
3.資産の貸付
例:地代、家賃、レンタル
指定日の前日(平成25年9月30日)までに契約●
→ 平成26年4月1日以後に貸付継続■
注)平成26年4月1日前から同日以後引き続き貸付している場合。
<ポイント>
貸し手側/借り手側:
新たに貸す・借りるなら指定日前に契約、開始する。
期間・金額・5%を明示し指定日前日迄に再契約する。
※但し、契約書に「消費税率の改正があった時は改正後の税率による」等の条項があると5%とはなりません。(3%分が実質的な増額となるため。)
見ておわかりのとおり、5%か8%かを判断するには、指定日が重要で、この指定日までは5ヶ月を切っています(平成25年5月現在)。業種によっては、早急に対応する必要がありそうです。
なお勘定科目で「リース資産」として資産計上しているようなリース契約は、3番の資産の貸付にならないため注意が必要です。
簡単に書きましたが、細かい規定も実際はあります。
「うちはどうしたらいいの?」等の疑問や不明点については、ヤマダ会計にお問い合わせください。
(チーフリーダー 玉澤一雄)
平成25年度 税制改正のポイント
去る3月29日、平成25年度税制改正法案が原案どおり可決・成立しました。自民党政権に戻って初めての税制改正ですが、景気浮揚のための企業向けの各種減税措置のほか、消費税増税を控えての、住宅関連税制の整備、富裕層向けの課税強化など改正項目は多岐にわたります。
今回は、その中から主要な改正項目をコンパクトにお伝えしたいと思います。
詳しくはヤマダ会計にお問い合わせください。
中小企業の活力強化
800万円まで交際費が全額損金可能!
中小企業は、800万円以下の交際費を全額損金算入できます。
現行:600万円以下、9割を損金算入
改正後:800万円以下、全額損金算入
対象者:資本金1億円以下の中小企業
適用時期:平成25年4月1日~平成26年3月31日の間に開始する事業年度
商業・サービス業・農林水産業の設備投資を応援する税制措置
中小企業等が、認定経営革新等支援機関等からのアドバイスを受けて、店舗改修などの設備投資を行った場合、減税されます。
対象者:中小企業、個人事業者等(青色申告書を提出していること)
対象事業:卸売業、小売業、サービス業、農林水産業
※平成25年4月1日~平成27年3月31日の間に取得し、事業に使い始めた設備が対象となります。
☆ヤマダ会計も経営革新等支援機関の認定を受けています。ご相談ください!
国内への生産設備投資促進税制が創設
新たに国内で取得した機械等の生産設備が対象です。特別償却(30%)又は税額控除(3%)により減税されます。
適用要件:
- 生産設備等への年間総投資額が減価償却費を超えていること
- 年間総投資額が前年比で10%超増加していること
適用時期:平成25年4月1日~平成27年3月31日の間に開始する事業年度
給与等支給額の増加分の10%が税額控除可能
給与等の支給額を5%以上増加させた場合、増加額の10%を税額控除できます。
適用時期:平成25年4月1日~平成28年3月31日の間に開始する事業年度
※中小企業については、法人税額の10%限度が20%に拡大
雇用促進税制が拡充、「控除額」が倍増
増加した雇用者数1人あたりの税額控除額が、現行の20万円から40万円に増額されます。
対象者:ハローワークに雇用促進計画を提出した事業主
適用要件:雇用保険の一般被保険者数が前年比10%以上、かつ5人以上増加(中小企業者等は2人以上増加)
適用時期:平成25年4月1日~平成26年3月31日の間に開始する事業年度
住宅ローン減税の拡充(平成26年4月~)
住宅ローンの減税の対象となる借入限度額が増額されます。
借入限度額が増額され、所得税額から10年間、控除されます。
事業承継税制が使いやすくなります(平成27年~)
利用要件の緩和
- 先代経営者の親族でない、従業員などへの承継も対象に
- 雇用の確保要件が緩和
5年間「毎年」8割以上の維持 → 5年間「平均」8割以上の維持
- 先代経営者の役員退任要件廃止
贈与時に役員退任 → 贈与時に代表者を退任
雇用の8割を維持することが難しい年があっても、即時に認定取消し(一括納付)となるリスクが減ります。
先代経営者が役員として会社に残り、後継者を支えることが可能になります。
手続の簡素化
- 経済産業大臣の事前確認申請が不要
- 提出書類が大幅に簡略化
- 税制利用のための株券発行が不要
富裕層に対する課税が強化されます(平成27年~)
所得税の最高税率の引上げ
課税所得4,000万円超について45%の税率が設けられます。
相続税の基礎控除の引下げと税率構造の見直し
基礎控除:
現 行 5,000万円+1,000万円×法定相続人数
改正後 3,000万円+600万円×法定相続人数
最高税率:50%から55%へ引上げ
贈与税が見直されました
子や孫等へ教育資金の一括贈与は、非課税(平成25年4月1日~)
祖父母(贈与者)が、30歳未満の子や孫等(受贈者)の名義で、金融機関に口座等を開設し、教育資金を一括贈与した場合、子や孫ごとに1,500万円が非課税となります。
*平成25年4月1日~平成27年12月31日に贈与、30歳になるまでに使用の分
*金融機関が教育資金の使途を領収書等でチェックし、書類を保管
生前贈与が使いやすくなります(平成27年~)
〇暦年課税
直系尊属(祖父母・父母等)からの贈与について税率構造が緩和
〇相続時精算課税
対象者に孫が追加。贈与者の年齢要件を65歳から60歳に引下げ
印紙税の非課税範囲の拡大(平成26年4月~)
領収書等に係る印紙税の非課税範囲が拡大されます
現行:3万円未満 → 改正後:5万円未満
(税理士 大石和寿)