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【今月のトピック】
(1)組織力をアップさせましょう!
(2)新分野へ進出する建設企業へ!行政が支援策を推進中
(3)勝因は、「やらないこと」を決める勇気
組織力をアップさせましょう!
早いもので今年も8月になりました。今春入社の新入社員も5ヶ月目を迎え本格的に実務に取り組み始めた頃ではないでしょうか。実務を進める際には判断に迷うことも多いでしょう。実務には細かい判断が求められますが、それに的確に対応するためには長い経験が必要とされるからです。しかし、社員に長い経験がなくとも判断に迷わない会社があります。それは新人にも分かりやすい判断基準が示されている会社です。
では分かりやすい判断基準とは何か?その代表例が経営理念・方針、そして経営計画などの指針です。社員の判断ミスや判断に要する時間を削減するためには明文化された指針を持つことが大切です。これは企業の組織力アップに欠かせないものだと思います。
ヤマダ会計グループでは今月末から「経営革新塾」セミナーを開催します。企業の組織力アップに貢献していきたいと思っていますので、活用のほど宜しくお願いいたします。
(代表 山田義之)
新分野へ進出する建設企業へ!行政が支援策を推進中
地域経済に大きなウエイトを占める建設業ですが、建設投資の低迷、受注の減少、利益率の低下など非常に厳しい経営環境に直面しており、まさに今、経営革新などの取り組みが強く求められているところです。
このような状況の中、新規事業に挑戦し、成功を収めている企業が増えているようです。静岡県内の取り組み例に注目すると、幾つかのパターンがある事が分かってきました。
①農業 ・・・ 遊休地を借り入れて、農作物の生産販売(土木技術、土質に対するノウハウの応用)
②環境 ・・・ 廃材リサイクル建材の製造、防災用品の開発(建築資材・廃材に対するノウハウの応用)
③介護 ・・・ 資材置場に施設を設け、グループホームを運営(眠っている会社設備の有効活用)
どうやら新分野進出成功のポイントは、本業で蓄えた技術力や資産等が、別業種でも活かせると気付く「柔軟な発想力・アイデア」にあるようです。こうした傾向は建設業に限らず、全ての業種へ波及していくことでしょう。静岡県でも「新分野進出相談窓口」が設けられるなど、行政の支援策の輪も広がっています。新分野進出をお考えの方は、一度相談されてみてはいかがでしょうか?
(行政書士 島田周一)
勝因は、「やらないこと」を決める勇気
デフレの不況下に関わらず経常利益率が40%に達する勢いの「マニー株式会社」、栃木県宇都宮市に本社を置く医療用機器メーカーです。同社はステンレス線材を使った小物の医療器具に特化。メイン製品の手術用縫合針では国内シェア9割を誇り、世界120ヶ国の医師たちから絶大に支持されているという、いわゆるニッチ(すき間)分野で高シェア・高収益を実現しています。
マニーでは、社員が「THE BEST QUALITY IN THE WORLD, TO THE WORLD(世界一の品質を世界の隅々へ)」と背中に書かれたユニフォームを着用して仕事をしています。『目指すは世界一の品質』、これが営業基本方針であり、ニッチ戦略の大黒柱でもあります。
マニーのトップ松谷貫司会長がニッチにこだわる理由は過去の大失敗にありました。 1970年代、外科用メスの製造に参入するも、品質で劣り失敗。廃業の危機に・・・。原因は、ステンレス線材ではなく、ステンレス板材を使用したことでした。この“線材”と“板材”、材料技術や加工技術が全く違うものです。二度と同じ失敗をしないために「自社が得意とする分野の特定製品に限定するしかない」と考えた松谷氏は、ニッチ戦略立案の基準となる「トレードオフ」 (やらないこと)を決めたのです。
マニー株式会社の「トレードオフ」(1)医療機器以外は扱わない(2)世界一の品質以外は目指さない(3)製品寿命の短い製品は扱わない(4)ニッチ市場(世界市場(規模が)2,000億円以下)以外に参入しない「やらないこと」を決めた結果「やるべきこと」はよりクリアになります。マニーの社員たちは、ユニフォームに掲げた「世界一」を目指すことに誇りを持って取り組んでいると言います。何をすべきかが問われる経営者にとって、 「やらないこと」を決めるのも大英断です。不況の今、焦りからあれこれと手を出す前に、一度立ち止まって「やらないこと」を考えてみませんか?
(岡本たき子)