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【今月のトピック】
(1)企業の予防医療
(2)法人を設立すると税金が安くなる?
(3)家の買い時はいつ?
(4)得なの?損なの?子ども手当支給と扶養控除廃止
企業の予防医療
最近、予防医療が注目されています。大きな病気にかからないように、あるいは介護の必要がなくなるように、あらかじめ健康の増進を図り、小まめな健康診断を行う、あるいは予防接種を行う。
メタボの特定健診・保健指導もその一つです。結果として医療費が減らせるという考え方です。実際に医療費を減らせられるのか結果は出ていませんが、こうした管理を強めれば健康が増進するのは間違いないでしょう。
人間の健康診断は年に一度ですが、企業の健康診断(=決算診断)が年一度では心細いですね。人間は見捨てるわけにはいきませんから、誰かが助けてくれるかもしれません。しかし企業は簡単に見捨てられます。企業に対する社会の目は非常に厳しいと思います。
決算診断により悪いところを明確にし、そのケアプランを作成してまめにチェックをすることで、自社の健康を注意深く監視しましょう。
(代表 山田義之)
法人を設立すると税金が安くなる?
今年もまた確定申告の時期がやってまいりました。この時季、特に納税が思ったより多かった方は、「法人を設立すると節税対策になりますよ」と耳にしたことがあるのではないでしょうか。確かに、法人を設立すると納税額が減少する場合もあります。それはなぜでしょうか。行っている業務は同じでも、なぜ法人設立が節税対策になるのか、その仕組みを少しご紹介したいと思います。
■ 法人設立により約2年間免除される消費税前々年の課税売上高が1,000万円を超える事業者については、消費税を納税する義務が発生します。また、法人に関しても同様に前々年度が1,000万円を超える事業者に・・・といった感じで、過去の課税売上金額を基に、消費税は納税義務が発生する仕組みとなっております。つまり、新規で法人を設立した場合、過去の課税売上金額がない為、少なくとも2事業年度は免税事業者となり、約2年間分の消費税が免除される仕組みとなるのです。※資本金1,000万円以上で法人を設立した場合は、初年度より消費税課税事業者となります。
■ 法人設立により使える給与所得控除個人事業者の方の所得税の算出方法は単純に表しますと
「売上高」-「経費」=「利益」
「利益」-「所得控除」=「課税所得」
「課税所得」×「税率」-「税額控除」=「所得税額」
となります。
では、サラリーマンや会社役員等の給与所得者はどうでしょう?
「給与支給総額」-「給与所得控除」-「所得控除」=「課税所得」
「課税所得」×「税 率」-「税額控除」=「所得税額」
となります。
どこが違うと思いますか?そう、「給与所得控除」分だけ給与所得者の方が受ける控除が多いのです。では法人設立により、上段の“個人事業者の税金の算出方法”がどの様に変わるか見てみましょう。
『法人』
「売上高」-「経費」=「利益」
「利益」-「役員給与」=「利益②」
「利益②」×「税率」=「法人税額」
『個人』
「売上高」-「経費」=「利益」
「利益」-「所得控除」=「課税所得」
「課税所得」×「税 率」-「税額控除」=「所得税額」
上記からわかる様に、個人事業者は『利益』に直接税率を乗じ、税金を計算します。一方、法人では『利益から役員給与を引いた金額』に税率を乗じ、税金を計算します。さらに役員給与に関しては、無条件に給与所得控除を引き、税金を算出することとなる為、「給与所得控除」分、税金計算の際に恩恵を受けることができるのです。
さて、簡単に仕組みをご紹介しましたが、個人事業の所得が少額の時や税率の問題等で、法人設立が「節税」どころか、「増税」となることがあります。また事業の状態により、法人設立が早計となる場合があります。法人の設立をお考えの方、是非ヤマダ会計に一声お掛けください。設立のメリット・デメリットを検討し、最善の方法で法人設立をご支援させていただきます。
(刑部 圭祐)
家の買い時はいつ?
民主党政権が発足して以来、初めての税制改正が行われます。改正内容は、まだ案の段階で決定ではありませんが、大きく変わることは間違いありません。
昨年、追加経済対策にて、住宅を購入する為のお金の贈与は500万円まで非課税にするという制度(※)ができましたが、今年度の改正案では、“22年は1,500万円”、“23年は1,000万円”と大幅に拡大される予定です。これで「500万円もらっても家は建てられないよ」と躊躇していた人も、思い切って適用できるのではないでしょうか。但し、適用期限は23年の末までの贈与に限られています。
これに、従来からあります相続時精算課税を適用できれば、22年は合わせて4,000万円まで非課税になります。子供さんやお孫さんが“そろそろ家がほしいな”と考えている方の場合は、贈与する大きなチャンスになるでしょう。また、先月号でもご紹介しましたがローンで住宅を購入する場合には、住宅ローン控除があります。21年より、最大で年50万円の税額控除と大幅に拡大されました。しかし、こちらも期限があり25年の末までの購入に限られ、しかも年々限度額が下がっていってしまいます。
税金は景気対策の一環として見直されますので、景気の悪い時こそ負担が少なく優遇されます。いずれ家を買うならば、今こそお買い時かもしれませんね。制度の詳細や贈与についてのご相談は、ヤマダ会計までご連絡ください。
(代表 山田 義之)
得なの?損なの?子ども手当支給と扶養控除廃止
民主党政権のマニュフェストの目玉のひとつ、子ども手当。H22年度の税制改正大綱でこの子ども手当と対をなすものとして、扶養控除の一部廃止が先ごろ大きく報じられました。
「所得控除から手当へ」という趣旨ですが、選挙の頃は子ども手当の「もらえる」方だけが強調されていたような気もするだけに、やっぱり増税(「とられる」方)もされるんだ、といったがっかり感は否めません。
まだこの税制改正案は国会を通過していませんので、このままの状態で成立するのかわかりませんが、「子ども手当はもらえるけど、扶養控除がなくなっちゃうと、ウチの税金いくら増えるの?」という声に応えて、得なのか損なのか、ちょっと計算してみたいと思います。
まず、簡単に改正の内容を説明しますと、以下のとおりです。子ども手当H22年4月から、中学卒業までの子ども1人当たり、月額13,000円の支給。年額にして、156,000円。当初の月額26,000円の半分の実施。所得制限を設けないことになった為、もらえる金額はみな一律です。
※その一方、児童手当が無くなります。こちらには所得制限がありました。金額は、3歳未満が一律月額10,000円、3歳以上が第1子・2子は月額5,000円で、第3子以降は月額10,000円でした。いずれも小学校終了前までです。
扶養控除の一部廃止
所得税と個人住民税(以下、住民税)が対象。扶養控除が無くなったり減ったりすると、所得税も住民税も増えます。
実施時期は、所得税: H23年分から、住民税:(前年分の所得を元に計算する為)H24年分からです。
0歳 ~ 15歳の扶養控除が廃止 →所得税:38万円、住民税:33万円(理由:子ども手当があるから)
16歳 ~ 18歳の特定扶養控除が廃止 →所得税:25万円の上乗せ部分、住民税:12万円の上乗せ部分(理由:高校の実質無償化があるから)
※結果、16歳~18歳は、扶養控除の38万円のみとなります。
※他方、19歳~22歳の特定扶養控除は上乗せ部分が据置の63万円のまま、23歳~69歳の扶養控除は38万円のまま、現行通りとなります。
では、計算してみましょう。わかりやすくするため、月給30万円の平社員Aさん、月給100万円の役員Bさんの例で比較してみます。家族構成は、専業主婦の奥さん、子どもは中学生・高校生の計2人です。(計算が複雑になるので、社会保険料等は加味していません。)
住民税の増税額住民税は、原則一律10%ですので、ざっくり計算しますと、AさんBさんともに、33万円×10%=33,000円(中学生)、12万円×10%=12,000円(高校生)→計45,000円、増税となります。
所得税の増税額所得税の、増税額は所得に応じて異なります。簡単に言うと、いわゆる所得の多い人ほど、増税となります。以下の表のように、同じ63万円分の控除の廃止でも、増税額は10万円以上差が出てきます。扶養控除の一部廃止は、実施時期が異なる為、子ども手当支給と扶養控除の一部廃止の損得は、上記のA・Bさんであれば、まとめると下記のような結果になります。
このAさん・Bさんの結果を見れば、得、という結論になりそうですね。もちろん家族構成が異なれば前提が崩れますので、子どものいない世帯には関係ない話ですし、子どもの人数・年齢によっても計算は変わります。しかし、子どもがいる世帯であっても、以下の点には注意が必要です。(1)子どもがまだ小さく、従来は児童手当をもらっていた世帯は、この減額分も考慮の必要アリ。(2)自営業者の方等で、社会保険料ではなく国民健康保険料を納めている場合は、所得税・住民税の増税により、国民健康保険料の増額が予想される(所得割部分がある為)。(3)所得税の金額で決まる保育料も増税により該当する所得区分が変わることで、増える可能性大。
源泉徴収票・所得税の確定申告書を元に簡単な試算は可能ですので、ご心配な方は、ヤマダ会計の御社の担当者へお尋ねください。(ご注意:税制改正案は、国会の審議いかんでは変わる可能性がありますので、現時点でのご説明となります。変更があった場合は、ご容赦ください。)
(リーダー 土本 佳奈)