企業をつなぐ・残すということ
2004年中小企業白書によると、年間廃業企業29万社(2001年から2004年平均)のうち少なくとも約25%の企業の廃業理由は『後継者がいない』ことだそうです。
そして、今後益々後継者不足による廃業の増加が予想されます。その主な理由は、経営者の高齢化問題。高度経済成長期に創業し、日本の発展を築いた世代が一斉に引退する時期を迎えるからです。2004年時点で55歳以上の経営者が、引退時期と考えていた平均年齢は65歳。ただし、55歳以上の中小企業経営者の96.4%は会社を残したいと強く思っているそうです。
企業を継承、残したい方
皆さんは、心血を注いで築きあげた会社をどのような形で残したいと思われているでしょうか?
「親族への承継」「従業員への承継」「店頭公開」「M&A」と手段はいろいろあるとは思います。廃業理由にもあるように、もしも『後継者がいない』ということになれば、一般的には「親族への承継」ができないということですし、広い意味では「従業員への承継」もできないということになるでしょう。
また「従業員への承継」は資金面・リスク面で難しい部分もあります。「店頭公開」についても、株式公開に見合うだけの売上高・利益水準・内部体制等を持ち合わせている中小企業は、ほとんど無いのが現状です。
注目される「M&A」
そこで今、大手の銀行のみならず注目されているのが中小企業の「M&A」です。
「M&A」と言うと身売り・リストラなど暗いイメージをお持ちの方も少なくないでしょう。また大企業をイメージし、我々中小企業は対象外とお考えの経営者の方も少なくないかもしれません。しかし、ここ数年中小企業における事業承継戦略の一つとして、この「M&A」が注目されているのです。
中小企業における「M&A」のほとんどが株式譲渡により行われています。従業員・取引先を買い手企業へ移転させることにより、従業員を解雇することもなく、取引先へ迷惑をかけることもありません。
「M&A」をするには、まず事前準備
ただし、その為には事前準備が必要です。『企業価値を高める』『帳簿の透明性』『黒字経営』等を意識し、自己資本を充実させ、『売れる会社』にしておくことがとても重要なのです。
また、事業承継対策は経営者がゴールを決めそれに向けてしっかり準備をしていかなければよい結果は得られません。企業の存続発展と経営者のハッピーリタイアメントの実現に向けて、ヤマダ会計は全力でサポート致します。
円滑な事業承継をするためには
また、優れた業績を上げ財務内容の優良な企業であっても、意外と事業承継が進んでいない。それはなぜでしょうか?
その理由の一つに、同族会社の場合は「所有と経営が一致」している事が挙げられます。
「所有と経営の一致」とは、簡単に言うと、「会社の大株主=社長、会社経営の中心=社長」ということ。社長は事業承継の際、代表取締役の座を譲るだけでなくオーナーの証である株式も譲ることになります。
しかし、優良企業の株は評価額が高くなりますので、株を譲ろうとして贈与しても莫大な贈与税が課されてしまいます。後継者の資金繰りを圧迫したり、株式を後継者以外にも分散せざるを得なくなったりと事業承継の障害となる事も多いのです。
こうならないためにも、「事業承継対策」が必要です。これには社長自らが着手していかなければならないでしょう。
後継者が自分から「相続税対策を始めよう!」「社長の座を譲ってくれ!」とは言い出しにくいからです。
「事業承継対策」は5年、10年と長い年月が必要となります。ぜひ早いうちに着手し、円滑な事業承継に取り組めるよう心がけてください。